ずっとやさしい手のひら・続編
「うわー」

ホテルに到着しあの頃とまったく変わっていないことで、懐かしさが蘇る

トランクから荷物を出している健太のことさえ忘れて、私は昔を思い出していた

「亜美、これ持って」

「あ、うん」

自分のバックさえ忘れてしまって・・・

「健太、早く」

早く入りたくて健太を急かしていた

「子供かよ」

そんなことを言われても嬉しさでまったく気にならず、私は健太の手を引っ張った

フロントで名前を言って健太がサインをする

川崎健太と亜美って・・・

やっぱり恥かしくって肩が縮む

「行くぞ」

「何階?」

「さあな」

「ちょっと何階なの?」

「最上階」

「一番上?」

そんないい部屋なの?私は目を丸くして、瞬きするのを忘れていた

「新婚旅行だからな」

クシャと笑った健太に今すぐにでも抱き付きたい

そう思っちゃった



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