晴れた日に降る雨のように
雨か。

待ち合わせの場所に15分以上前についてしまい、私はどこか店に入る気にもなれず、ただその場所で佇んでいた。

祐樹に会う事がこんなに怖いのは、あの月夜に告白した返事を待つとき以来かもしれない。

派手な色の自分の傘を仰ぎ見たときに聞こえた声に、私はキュッと傘の柄を握りしめて声の方をみた。

「相変わらず目立つな。その傘」

「いいでしょ目立って」

思ってもいない事が口をついて、どうしていいかわからず顔を傘で隠した。

「秋穂」

もう一度、「あき」ではなく、きちんと呼ばれた自分の名前にドキッとした。

それでも何も言わない私に、祐樹は今度は大きなため息をついて私に近づいてくるのがわかった。
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