約束〜二人で帰ろう〜
淡々とお母さんの元彼氏はそう言い、部屋を出て行く。元彼氏の妹とその息子も部屋を出て行き、部屋には鍵がかけられてしまった。

私はその場に座り込む。あの元彼氏の欲望のために私は誘拐されたのだ。

体が震え、今にも泣き出しそうになる。この広いのか狭いのかよくわからない部屋に閉じ込められ、鎖でつながれてしまった。無事に帰ることができるのかもわからない。

「……どうしよう……」

私がそう呟きた時だった。ゴソゴソと背後から物音が聞こえてくる。私はゆっくりと振り返った。

そこには、大きな古びた毛布が置かれている。そして誰かがその毛布にくるまっていた。

「え?」

私が呟くと、毛布の中から人が出てきた。私と同じように手に手錠をかけられ、腰に鎖を巻きつけられた女の子だ。ニットワンピースを着てデニムを履いている。長い黒髪の美人な人だ。

「あなたは……」

私が呟くと、女の子は「また誘拐するなんて……」と言う。

私以外にも誘拐されている人がいるなんて……。

私は驚きで固まった。
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