約束〜二人で帰ろう〜
「婚姻届にサインしたら鎖を外してくれるって」

「そんなこと言われたんですか〜?」

しばらく二人で話していると、不安な気持ちは少しずつ薄くなっていく。どんな絶望の中にいても、誰かがそばにいてくれたら心は救われる。

「ねえ、立羽ちゃん」

「はい」

立羽さんにそっと手を握られる。私の胸がトクンと温かくなった。

「敬語、やめにして?私のことも「さん」なんて付けなくていいから」

「はい……!じゃなくて、うん!」

そして二人でたくさん話した。瑠璃ちゃんも私と同じボカロが好きだということや、家族や友達の話などをする。

「立羽ちゃんは家族と仲がいいんだね。いいな〜」

瑠璃ちゃんがそう言い、私は首を傾げる。そして話してくれた。

瑠璃ちゃんは東京で生まれたが、家族とうまくいかず家出同然で東京から××県へ行ったらしい。××県の食堂で働いていたそうだ。

食堂で働いていた……お母さんと同じだ。
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