約束〜二人で帰ろう〜
家に帰ったら、おじいちゃんとおやつを食べよう。おばあちゃんと洗濯物を畳んで、お母さんと夕食の準備をする。ヨモギと遊んで、お父さんとお兄ちゃんとDVDを見て……。

考えるだけで、家に帰ってくるのが楽しみになる。

これから起こることなど予想もせず、私は家を出た。



学校へ行くと、三年生の表情はほとんどの人が明るくなっている。昨日の合格発表でほとんどの人が進路が決まったためだ。

「おはよ〜」

私は友達に挨拶をし、前までは気軽にできなかったおしゃべりを楽しむ。

「高校、合格してよかったね〜」

「これで好きなことし放題だよ!」

そんなことを輪になって話す。その時、友達の一人が言った。

「そういえばお母さんが言ってたんだけど、最近この辺りで不審者が出るらしいよ」

「不審者?」

平和な場所だと思っていたので、私は聞き返す。友達は言った。

「黒い車に乗っていて、中学生の女の子をじっと見てるらしいよ。車の中に何人か乗ってるみたい」
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