約束〜二人で帰ろう〜
「ええ〜……。怖いな……」

進路が決まってホッとした刹那、このような話を聞くとは思っていなかった。気をつけないと……。

でも、授業が始まって友達と話したりするうちにすっかり不審者のことなど忘れてしまった。



放課後、友達と話しながら家へと帰る。高校のこと、趣味のこと、家族のこと、色々なことを話した。

夕焼けが空をオレンジに染めている。きれいだな、と思いながら私はそれを眺めていた。

「じゃあ、また明日!」

「バイバイ!」

友達と別れ、家へと急ぐ。早く帰っておばあちゃんのお手伝いをしないとね。

その時、私の後ろから黒い車が私を追い抜いていった。この辺りでは見たことのない車だ。でも私は特に気にせず歩き出す。

車は角を左に曲がっていった。私の家がある方だ。私も角を左に曲がる。

その刹那、誰かに腕を掴まれ体を引き寄せられる。声を出そうとしたけど、私の口はすでに手で塞がれていた。
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