約束〜二人で帰ろう〜

私は必死に逃げようと抵抗する。こんな時に友達の言っていた不審者の話を思い出してしまった。

足に力を入れ、相手の腕を振り解こうともがく。しかし抵抗も虚しく、私は黒い車の中に放り込まれてしまった。

「や、やめてください！放して……」

私を車の中に放り込んだのは、そばかすだらけの顔をした太った男性だ。たぶん二十代くらい。運転席と助手席に、四十代くらいの男性と女性が座っている。

二十代くらいの男性は、私の体の上にのしかかる。体重をかけられ、私は身動きが取れなくなった。

視界が一瞬にして暗くなる。二十代くらいの男性が、私の目にアイマスクをつけたのだ。口にもガムテープがはられ、声を封じられる。

両腕を後ろに回され、縛られた。足も縛られてしまったため逃げられない。

車が素早く動き出す。車内に会話はなく、私は恐怖と不安で今にも泣き出しそうだった。目隠しされているため、どこへ向かっているのかわからない。