クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?
そんなご立派なエドワード王が、なぜ俺なんかを探す!?
俺に一体、どんな価値があるってんだ?



(ええい!畜生!)



どれほど考えてもわからない。
考えれば考えるほど、せっかくの酔いも冷め苛付くだけだった。



俺に、何か誇れるようなものでもあるだろうか?
強いていうなら、この見てくれか。
飛び切りの美男子というわけではないが、昔から女には好かれる顔つきだ。
でも、そんなことが一体何の役に立つ?



そもそも、美男子という点では、エドワード王の方が遥かに上だ。
王の美しさは、完璧と言っても良い。
そんな王が、俺の顔を気にするはずもない。



他に何かあるか?
俺が誇れるものが…



……やっぱり何も浮かばない。
いや、浮かばないんじゃなくて、実際に何もないんだ。



「あぁ、イライラするなぁ!」



俺は、身を起こした。
風にでも当たろうと窓を開けたら、外には兵士がいて、俺に向かって敬礼をした。



「わっ!」

俺は反射的に窓を閉めた。



なんてことだ。
外まで見張られているなんて…
エドワード王は、俺を絶対に逃がさないつもりのようだ。



(全く…勘弁してくれよ…)

全身の力が抜け、俺はその場にへたり込んだ。
< 14 / 352 >

この作品をシェア

pagetop