クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?




「ずいぶんと上達したな。」

「アルバートさんのおかげです。
ありがとうございます。」

アルバートさんは、穏やかに笑った。



「ちょっと休もうか。」

「はい。」

木陰に二人で並んで座る。



「……私は、ずっと弟が欲しかったんだ。」

「え?」

「私の従兄弟・リチャードは、男ふたりの兄弟なんだ。
兄は、弟をとても慈しみ、弟は、兄にとても懐いていた。
そんな二人の関係に、私はとても憧れた。
そもそも、私はリチャードに憧れていた。
リチャードは、頭が良く、乗馬も剣の腕もすべてが完璧だった。
リチャードは、弟にいろいろなことを教え…その姿がまたとても格好良く見えたんだ。
でも、残念なことに私には妹しかいない。
弟にいろいろなことを教えるという夢は叶わないと思っていた。
だけど、君と知り合い、私は今、こうして夢を叶えている。
……本当にありがとう。」

「え……?」

アルバートさんは、最初から私には優しかったけど…そっか、そんな想いがあったからなんだね。
そういえば、兄のように思ってくれって言われたこともあったよ。
そういうことだったのか……
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