クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?




「まだなのか!?」

「はい、王妃様はただいま頑張っておられます。」



カイセルから戻って来た次の日、ついに王妃が産気付いた。
何時間も前から部屋の前を何度も行ったり来たりしながら、余は赤ん坊の産声を待っている。
余の姿を傍から見れば、初めての子を楽しみにするごくありふれた父親そのものだろう。



生まれて来る子が、余の実の子ではないことはわかっている。
それでも、生まれて来る子は、モルガーナの後継ぎなのだ。
父親の自覚は当然ない。
余が待っているのは、生まれて来る赤ん坊ではない。
魔力だ!
フォーリンドを我が手中におさめるための、強大な力だ。



あと少し…
あと少しで、余はその力を手にするのだ!



(どうか、どうか、無事に生まれて来るのだ!
男でも女でも、そんなことは構わぬ!
学者の言った通り、魔力を持って生まれて来さえすればそれで良いのだ!)



その時、元気な産声が響き渡った。
生まれた…ついに、魔法の力が復活する…!



「陛下!王子様です!
モルガーナの後継ぎ様がお生まれになられました!
さぁ、どうぞ、中へ。
王妃様もお元気でございます。」

興奮した様子の侍女が、余を迎えに来た。
余は、部屋の中へ向かった。
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