クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?
「王妃、ご苦労だった。」

王妃は、上気した顔で小さく頷いた。



「陛下、ご覧下さい。
これほどお美しいお子様は滅多にいらっしゃいません。」

確かに、産着にくるまれたその子は、まだ生まれたばかりだというのに、王妃に似てたいそう整った顔立ちをしていた。
しかし、顔などどうでも良い。



「陛下、この子に名前を…」

「名前…?そうだな…何としよう…」

そんなこと、考えたこともなかった。
どうでも良いことだが、仮にもこの子は我が国の後継ぎなのだ。



「そうだな……オズワルドはどうだ?」

余は頭に浮かんだ名を口にした。



「オズワルド…?」

王妃はその名が気に入らないのか、どこか怪訝な顔をした。



「あぁ、そうだ。魔女狩りをし、魔法をこの世からなくした当時の王の名だ。」

魔法を壊滅させた王の名と、魔法を復活させる者の名が同じとは面白いと思ったのだ。



「……オズワルド……ええ、確かに良い名ですね。
気に入りました。」

「そうか、それではこの子はオズワルドだ。」

どうやら、余の杞憂だったようだ。
王妃はその名を気に入り、赤子の名は『オズワルド』ということに決まった。
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