クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国（パラダイス）～これってもしやシンデレラストーリー！？

「あそこに魔方陣を描いた者のことは何かわかったのか？」

「いえ…おそらくこれが署名ではないかと思うのですが、この通りでして…」

学者は、手紙の最後の部分を指さした。
そこには確かに何か書かれている形跡はあるが、まったく読めない。



「おぉ、そういえば、魔方陣を描いた者はどうやってあの部屋から出たのだ？」

「アルバート様、お忘れですか？
あれを描いた者は魔女です。
壁をすり抜けること等、容易に出来たと思います。」

「……そうか、そうだったな。
では、あの魔方陣がこの国に幸せをもたらすとは、どういうことだと思う…？」

「それはわかりません。
その者がどのような思惑を持っていたのか…
もちろん、その後あのようなことが起きるとは思ってもいなかったでしょうし…」

「……そうだな。」



結局のところ、時間がかかったわりにはそれほど大きな収穫はなかった。
召喚されたと思われる者の手がかりもまるでない。



「報告、ご苦労だった。
そなた達も疲れただろう。ゆっくりしてくれ。」

「はい、アルバート様。」



誰もいなくなった部屋で、私はあの部屋に想いを馳せた。
魔方陣を描いてくれた魔女は、この国のためにと考えてくれたようだが、実際はどうなのか。
おそらく、その者の気持ちとは違うことに発動されたのではないだろうか。
何の根拠もないが、なんとなくそんな予感がする。
この胸騒ぎが、ただの杞憂なら良いのだが……