ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
『はい。わたくしにはかなり力がありますのよ。ですので、江理奈さんが命を落とす前にこの場所に引き寄せたのです』

 フォーチュナはにっこり笑うと片手を上げた。そこには金色の光が集まり、次第に大きくなっていった。

『江理奈さん、あなたのこれまでの人生のバランスを拝見いたしましたところ、驚いた事に、どうやらあなたの幸運が他人から大量に搾取されていることがわかりました。今まで理不尽な目に遭われていたことにお気づきでしょう?』

 フォーチュナの言葉を聞いて、江理奈は目の前の霧がぱっと晴れたような気がした。

「あ、確かに、わたしだけ妙に運が悪いなと思うことが多かった! はい、今思えば変でしたね。それは他人に幸運の搾取をされていた、というわけだったんですか? わたしは自分のせいで運が悪くなっていたんじゃなかったんですね」

『ええ、江理奈さんはちっとも悪くなかったのですよ。おかしな事が起きていたのです。そこで、今まであなたに辛くあたり、幸運を奪い取っていった方々から江理奈さんの分の幸運を返してもらうことにしましたわ。……多少の利息をいただきましてね』

 ふふっと笑いながら『そうですわね、借金の取り立てみたいなものでしょうか。『多少』ではなく、ちょっとだけ多めに取り立ててしまいましょう。人生をやり直すには大きな力が必要ですものね……』などと不穏なことを呟く美しい妖精の手には、バレーボールほどの大きさの金の光の球体ができていた。
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