ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「それではエリナよ、わしはこれで失礼する。仕事の邪魔をして済まなかったのう。孫の養い子の顔を見たかっただけなのじゃ。ほれ、これはエリナへの土産であるぞ、休憩の時に食べるが良い」

 ギルバートは、持っていた包みをエリナに手渡して去ろうとした。

「待ってください、ギルおじいちゃん!」

「ふぉっ、なんじゃ?」

 ギルバートは、腰砕けになりそうなのをなんとかこらえて振り向いた。

「良かったら、お昼ごはんにわたしのお料理を召し上がっていただけませんか? この『青弓亭』ではお肉の料理を出しているんです。今夜は生姜焼きの日なので……」

「うむ、生姜焼きというのが評判だということは耳にしておるぞ。しかしな……」

 ギルバートは、寂しげに言った。

「わしは、歯の方もかなり耄碌(もうろく)してしまってな。残念だが、若い狼のようにぶ厚い肉を食いちぎることはもうできんのじゃよ。お嬢さんの作る肉料理は、肉汁が(したた)って、それはそれは美味しいと聞いておるのじゃが……わしがもっと若ければのう。うむ、残念無念じゃ」

「ギルおじいちゃん……」

 気力に満ちて矍鑠(かくしゃく)としているが、やはりギルバートは高齢なのだ。肉体の衰えは止めることができない。

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