ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～

「おじいちゃんは、歯が……」

（そうか、歯が強そうな狼の獣人でも、歳をとると肉を噛みきれなくなっちゃうんだ）

　エリナは、『青弓亭』にやってきてたっぷりの肉を満足そうに食べていく若い獣人のお客を思い、目の前の優しそうな老人の食事風景を想像して切なくなった。

「おお、良い良い、そのような顔をしなくて良いのだ」

　泣きそうな子猫の頭を、ギルバートの皺だらけの手が撫でた。

「大丈夫じゃよ、若い頃から肉はたくさん食べてきたのじゃからな。お嬢さんは、元気な孫たちに美味いものをたくさん食べさせてやっておくれ」

「おじいちゃん……」

　ギルバートは「そのうち、わしのところに遊びに来ておくれな」と言って、エリナと別れた。その背中を、エリナは呼び止めた。

「ギルおじいちゃん！」

「うむ？」

「明日のお昼に『青弓亭』に来てもらえませんか？」

「明日？」

「はい。ギルおじいちゃんにご馳走したい肉料理があるんです。お待ちしています」

「……そうか、お嬢さんがわしにご馳走してくれるのか。楽しみにしておるぞ」

（他の料理人のように、柔らかく煮た肉を料理してくれるのじゃろうな……）

　ギルバートは、エリナが心を込めて作ってくれるのだから、実は苦手な煮込んだ肉でもありがたく食べようと考えて「それでは、明日の昼に寄らせてもらおう」と頷いた。