ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～

　無邪気なエリナにパチパチと手を叩かれたルディは「そうか、カッコいいか」と少し得意げに鼻の頭をかいた。

「カッコいい……のですね」

　すると、なぜか対抗心を燃やしたフランも黙ってはいなかった。彼は「エリナ、僕の名前は『フランセス・ジーク・スカイヴェン』っていうんだよ。長いでしょ」と、いかにも優しいお兄さんらしくにっこりと笑いながら言った。

「もちろんエリナは、僕のことを『フランお兄ちゃん』って気軽に呼んでいいからね」

　それを聞いたミメットは、口の端をひくひくさせながら「いや、まずいでしょう、仮にも王太子に向かってそれはまずいでしょう」と呟いたが、エリナの耳には入らなかった。

「フランさんも、長くてカッコいいお名前なんですね」

「フランさんじゃなくて、フランお兄ちゃんだよ」

「はい、フランお兄ちゃん」

　現在『絶賛幼女中』のエリナは、両手を膝の上に揃えていい子のお返事をして、フランセスを「か、可愛い……持ち帰りたい……」と身悶えさせた。

　もちろん、幼女のお持ち帰りなど、王都を守る警備隊長である銀狼ルディが許すはずがない。彼は遠慮なく弟の頭に拳を落として「フラン、血迷うな」とぐるるるという不穏な唸り声と共に警告した。