ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「わあ、眩しい……って、え? ルディさん? ルディさん、なん……ですか?」

 思わず目を瞑り、そして開いたエリナは、目の前にいる生き物の姿を見て目を見開いた。

「俺だ」

「なんて……すごい……」

 そこにいたのは、エリナの身長よりもずっと背が高く、大きな身体をした、長い銀の毛並みが美しい獣……いや、神々しい生き物であった。

 太くてふさふさした尻尾をゆっくりと振りながら、ルディは言った。

「家族の中で俺だけが……というか、この国で俺だけなのだが、フェンリルという生き物だったのだ」

「フェンリル……ですか?」

「神獣とか、聖獣とか、妖精獣などと呼ばれている」

「妖精、獣……」

 その言葉を聞いたエリナの身体に、電流のようなものが走った。

「そうだ。故に、俺は通常の獣人の(つがい)を持つことができない。王妃をめとり、子を成すことができない俺が王位を継ぐわけにはいかなかった」

「番を?」

 耳慣れない言葉に、エリナは首を傾げた。

「普通の獣人であるエリナにはわからないだろうが、俺は同じような妖精獣としか結婚できないということなんだ」

 まあだから、と彼は続けた。

「エリナのような可愛らしい女の子を保護しても、不埒な真似には及ばないから、誰も俺の行動に反対しないというわけだ」

「不埒……なっ、ルディさんのえっち!」

 意味がわかったエリナは頬を染めたが、当のルディは「うん、だから、まったくそっちの方は心配いらない……のだが、それはそれで、男として悲しいものがあるというか……」と寂しげに遠くを見つめるのであった。
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