ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「ルディさんは、他の人のように人間の姿にはならないんですよね」

「いや、そんなことはない」

 彼は、半獣の姿に変わり、衣類を身につけてから、また姿を変えた。

「ほら、この通り人間の姿にもなるが、王太子と同じ顔というのは誤解の元だからな。仕事にも差し障りがあるし、いつも狼の……エリナ?」

「……わ……ル……」

 口をぽかんと開けて、エリナは言葉に詰まっていた。

 それまで男性だということを意識せずに、一つ屋根の下に住み、狼の姿とはいえ夜は一緒のベッドに(しかもしがみつきながら)寝ていた相手は……プラチナプランドの、とびきりのイケメンだったのだ!

 確かに、双子のフランセスと同じ顔をしている。しかし、穏やかで知性派のフランセスと違い、騎士として鍛錬をし荒っぽいこともある仕事についているルディは、美しさに男性的な精悍さも加わって、はっきり言ってめちゃくちゃエリナのタイプの男性だったのだ。

(こっ、これがっ、ルディさんの人間としての姿だったなんて! 違うよ、わたしがモフって可愛がってたのは銀の狼であって……)

 いや、エリナが散々モフりまくったのは、まさにこの美青年なのだ!

「き、きゃあああああーっ!」

「エリナ⁉︎」

 恥ずかしさのあまり、真っ赤になって叫ぶと、エリナはその場から逃げ出して、自分の部屋へと駆け込んでしまったのであった。
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