ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～
「なんと！　これは美味いな！」

　肉汁の溢れるハンバーグを口に入れた国王は、もぐもぐ噛んで飲み込んでから、感心して言った。

「なるほど、父上とフランセスが絶賛するだけある。こんなにも柔らかくて食べやすいのに、ステーキを食べたのと同じくらいの満足感があるぞ」

「良い牛肉をたっぷり使って作りましたからね、お肉の味が生きています」

　王家のメンバーだけではなく、作ったエリナとミメットも一緒のテーブルにつき、ハンバーグに舌鼓を打っていた。

「スカイヴェン国のお肉は、本当に美味しいですからね！　旨味が凝縮されているし、柔らかいし、焼いてもジューシーですから」

　うまうまとハンバーグを食べるエリナに、フランセスが「エリナちゃんの国のお肉は固いのかい？」と尋ねた。

「え？　わたしの国ですか？　そうですね、わたしの国のお肉は……」

　エリナは、色が変わった値下げ処分の挽き肉や、少ない肉を増量するために加えた消費期限を過ぎた豆腐を思い出した。
　少ない給料と深夜のバイトでやりくりしていたエリナは、値引き品の食材を使って自炊していたのだ。

「わたしの口に入るお肉は……古くて色が少し変わった物が多かったので」

「『古くて』って、それはもしかすると、肉が傷んでいたということじゃない？」

　フランセスは驚いて言った。
　彼は王太子であるが、お忍びであちらこちらに行って庶民の暮らしも知っているため、食材について知っていた。
　そして、このスカイヴェン国では国による福祉も行われている上、美味しい食材が豊富にあったので、たとえ収入の少ない家庭でも、傷んだ食品を口に入れるなどということはなかったのだ。

「……はい、傷む寸前でした」

　エリナは、日本での貧乏な生活を思い出して、暗い表情になって食事の手を止めた。
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