ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～

「わたしの世界のお金をたくさん持っている人は……向こうにも、黒毛和牛の霜降りとかっていう美味しいお肉はたくさんあったみたいですから、そういうのを食べていました。でも、わたしはひとりぼっちでお給料も少なくて、贅沢なんてできなかった……うん、食べ物があるだけましだったよね……」

　エリナは、いくら働いても報われない生活を思い出して、暗い気持ちになっていった。

「あの頃のわたしは、キャベツの外側の固いのをもらったり、見切り品の玉ねぎを使って料理して……お肉は高いから、あんまり食べられなくて……それが、今は毎日こんなに美味しい物を食べられて……綺麗な服を着せてもらって……お料理をするとみんなに褒められて……寝る時は寒くないし……ひとりぼっちじゃないんだ……」

　エリナは、ハンバーグを見ながら独り言を言っていた。
　彼女の様子と呟きの内容に、その場にいた者たちは凍りついた。

「あれ？　わたしはもしかして、夢を見ているのかな。これはみんな、わたしが作り出した幻なのかなあ……」

　エリナは虚(うつろ)な瞳で呟く。

「そうなのかも。そうだよね、こんなに幸せな暮らしをできるはずがないもんね。もしかすると本当のわたしは、もうこの世にはいなくて……わたしはもう……」