ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～

「どうしよう、この夢が覚めたらどうしよう、この……」

「エリナ！」

　彼女の様子に異変を感じたルディは、素早く立ち上がると、エリナを抱き締めて軽く揺さぶりながら言った。

「しっかりしろエリナ、これは夢ではないぞ！　なにを思い出したのかわからないが、今お前はスカイヴェン国にいるんだ、『青弓亭』のエリナなんだ！」

「『青弓亭』の……エリナ……」

　エリナは、ぼんやりした瞳でルディを見た。

「そうだ。『青弓亭』の料理人であるお前の作る美味い料理を食べに、毎日たくさんのお客がやって来ているじゃないか。それは、お前がスカイヴェン国で成したことの結果なんだ。そしてみんな、毎日がんばっているお前のことが好きなんだ、お前のことを、幼いのによく働く立派な子猫だと思って応援しているんだ。エリナはひとりぼっちなんかじゃないし、ここは夢の世界ではない」

「ルディさん……夢や幻じゃないの？　みんな、スカイヴェン国の人たちはちゃんといるんですね？」

「いる！　俺たちはいつもお前の側にいる。だから、そんな目をするな」

「……はい」

「エリナ！」

　今度はミメットが、ルディの腕からまだぼんやりエリナを奪い取った。

「あんたがどこから来たとか、過去になにがあったかとか、そんなことはどうでもいいんだよ。あんたはみんなの役に立っているし、あたしを助けてくれた立派な猫なんだ。ルディの言う通り、あんたのことをみんな大好きだし、気にかけているんだよ。そんなあたしたちを、幻だなんて言わないでおくれよ、そんなことを言われたら悲しくなっちまうからさ……」

「ミメット姉さん……わたし……ごめんなさい……」

　キジトラ猫の目が潤んでいるのを見たエリナは、ミメットにしがみつくと涙をぽろりと零したのだった。