ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「おい、子猫」

「すっごく素敵な狼さん、こんにちは!」

 夢なら覚めないで、と思いながら、江理奈はしっかりと狼にしがみつきながらご挨拶をした。

「いや待て、今は朝だから、挨拶なら『おはよう』だ……ではなくてだな」

「はい、おはようございます! 今日も朝から素敵な毛並みなんですね! さすがですね! モッフモフですね!」

「おう、ありがとう……では、なく、て!」

 完全に相手のペースに飲まれていると気づいた狼は、がっくりと頭を下げてから、何とか言葉を絞り出した。

「違うんだ……俺が言いたいのは……」

 巨大な銀の狼にしがみついて、至福の時を味わっていた江理奈は、ようやく相手が困惑していることに気づいた。頬ずりするのをやめて、宝石のような狼の瞳を見つめる。

「……あの狼さん、もしかして……ご迷惑でしたか?」

「……いや」

 江理奈に振り回されているはずの狼は、まんまるい瞳でそう尋ねられて、なぜか迷惑だとは言えなかった。
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