ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「それではミメット姉さん。今夜はカツレツを作りたいと思います!」

「はい!」

「打ち合わせた通り、スープはわたしがちゃちゃっと作っちゃうので、姉さんはメインのカツレツを習得してください」

「はい、エリナ先生」

 そう、エリナが選んだのは、豚のカツレツであった。
 トンカツだと多量の油がいるので、料理初心者と小さな先生では危険があると思ったのだ。カツレツなら、フライパンと少しの油でカリッと焼き上げることができる。

 市場で豚肉を買ってきたエリナは、トンカツよりもやや薄めに肉を切ってから、ミメットに手順を説明した。

「まず、カツにかける玉ねぎとキノコのソースをお鍋で作っておきます。あとは、カツの脇に添える野菜の用意です。そして最後にカツを揚げる。と、こんな感じで進めていきますね」

「カツは最後なのかい?」

「そうです。カツは焼き立てを食べたいから、お客さんが来てから作りたいんです。カツを焼くだけってところまで用意しておきます。ソースは鍋に作っておいて、添える野菜の方は冷蔵庫にしまって、お皿やフォークソングなどの食器も、しっかりと準備しておくつもりです」

 というわけで、切ったトマトと千切ったレタスはボウルに入れて、冷蔵庫で冷やしておく。

「じゃあ、まずソースを作ります!」

 この世界には、トンカツソースはないようなので、薄切りの玉ねぎとキノコを炒め、熟したトマトを潰したものと一緒に煮込んで、岩塩とスパイスで味付けし、ソースの代わりにする。

 エリナに監督されながら、ミメットは慣れた手つきで玉ねぎを切った。

 まだお昼前なので時間はたっぷりある。エリナは作業の半分をやって見せ、残りをミメットにゆっくりやらせて覚えさせながら、のんびりと調理を進めていった。

「うわあ、このソースだけでも美味しそうじゃない」

 玉ねぎとキノコがトマトソースでくつくつと煮込まれているのを見て、ミメットが言った。岩塩と胡椒と刻んだニンニクが入っているから、香りも良いし、味も良い。

「ここに薄切り肉を入れて煮込んだものをご飯にかけて、チーズをのせてオーブンで焼いても、パスタを茹でて絡めても、立派な一品になるんですよ。今日はボリュームを重視するから、カツレツに添えて使います」

「なるほどね。そうやって応用しながらレパートリーを増やしていけばいいんだね」

 ミメットは、感心した。
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