ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 当然ながら、警備隊の騎士たちは皆定食を完食した。

「『青弓亭』で、こんなに美味いものが食べられるとは……」

 感激屋の犬のマイクは、目をこすりながら言った。

「これならば、遥か遠くの地にいるギギリクも……さぞかし喜ぶだろう……雲の間で微笑むギギリクの姿が目に浮かんでくるよ……」

「ちょっとマイク! うちの兄さんはまだ死んじゃいないよ、縁起でもないことを言わないで!」

「あ、ごめん。つい」

 どうやらマイクは、うっかり屋のお調子者のようだ。

「ねえミメットさん」

 洗った食器を拭きながら、エリナは言った。

「普通盛りの定食がまだ6人前作れるだけの材料があるんですけど、どうしましょうか」

「え、それならお代わりを……」

「ごめんなさいね熊さん、お代わりはちょっと待ってください」

「お、おう」

 可愛い子猫に小首を傾げられた熊は、つられてにへっと笑いそうになった。その表情があまりに獰猛だったので、警備隊員たちは「その顔はやめろ!」と叫んだ。

「この『青弓亭』の料理を宣伝するために、できれば王都の人たちにも食べてもらいたいんです。味を知ってもらわないと、お客さんが呼べないから」

「まあ、そうだね」

 ミメットは頷くと、店の扉を開けて外に出た。エリナもその隣にちょこんと立った。
< 85 / 209 >

この作品をシェア

pagetop