ねこねこ幼女の愛情ごはん～異世界でもふもふ達に料理を作ります！～
「それじゃあ、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

　家政婦が魔導冷蔵庫に置いていったミルクを温めてエリナに飲ませてから（「小さな子猫には、たっぷりのミルクをおやつに与えるものですよ」と、昼間やってきた気のいい家政婦に注意されたのだ）ふたりは二階にある別々の部屋に入った。

「……ふう」

　小さな女の子の世話に慣れていないルディは、ほっとしてため息をついた。
　そして、部屋の明かりを消してベッドに入ろうとした。
　しかし、ドアがノックされた。

「ルディさん」

「どうした？」

　ドアを開けると、枕を抱えた子猫が寒そうに立っていた。

「部屋の明かりが消えないんです」

　ルディは困り顔をする子猫を抱き上げて、部屋に連れて行った。

「明かりのスイッチは、入り口のここと、ベッドのサイドテーブルのここ。この魔石を使うんだ」

「はい、わかりました」

　子猫をベッドに入れて、肩口が冷えないように布団でよくくるんでから、ルディは電気を消した。

「あ」

「今度はどうした？」

「ううん、真っ暗だから……カーテンを開けて寝てもいいですか？」

　ルディがカーテンを開けると、ふたつの月の光が優しく射し込んだ。

「いつもひとりで寝るから、なにかあった時に安全に避難できるように、小さな灯りを点けて寝ていたんです」

「そうか」

「いざという時に、自分の力で逃げないといけないから。真っ暗だと逃げられなくて、地震や火事があった時に死んじゃったりするかもしれないから」

　真面目な顔で説明するエリナを見て、ルディの胸がきゅっと締めつけられた。

「……エリナはひとりぼっちだったんだな」

「でも今は大丈夫、ルディさんがいますから。なにかあったら助けに来てくれますよね？」
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