花のようなる愛しいあなた
「ついて来ないでよ」
一方の松は、重成に迷惑そうに言った。
「仕方ないだろ、秀頼様が二人っきりになりたそうだったんだから」
「遠くで待機してればいいじゃん!」
「何怒ってんだよ」
「私、重さんのこと許してないから!」
「はぁ?」
「千姫様に辛い思いさせたこととか」
「仕方ないことだったろ、あれは」
「でもさ、ちゃんと教えてくれたって良かったじゃん!」
「秀頼様がご内密にしたかった内容を俺が勝手に漏らすことはできない。
相手が姫様であってもだ」
「その後重さんからは謝罪もないじゃない!」
「俺は自分の仕事をしただけだから謝罪はできない。
確かにお前からしたらムカつくだろうけど、そこは筋を通させてもらう。
それに秀頼様と千姫様が話し合って和解されたんだ。
俺たちがそれについてどうのこうの言うのは間違ってる」
「そういうところ、すっごい嫌い!!」
「松はたまにすごく大人びたこと言うのに、そういうところは子供だな」
「ふんっ!」
「でも、姫様のために精一杯寄り添って尽くそうと努力する姿は偉いと思うぞ」
「当り前じゃない!
世界一大好きな姫様だもん!!!」
「ま、主人が大好きっていうなら俺が宇宙一だけどな!」
「何それ!」
「俺の次に忠義ものだな、松!」
「私の方が姫様好きだもん!!!!!」
「いいや、俺の秀頼様への想いには敵わないね」
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