花のようなる愛しいあなた
「叔父上の仰る決心はまだついてはいないのですが…」
「そうですか…。
しかしながら一度お会いして相手を知るのも必要なことだと思いますよ」
「そうですね」
「家康殿は親睦を深めるために一度会いたいと、そういう意図でいらっしゃいますから」
「それだったら狸が大坂までくればいいじゃない!!
京都まで来れるんだったら大坂なんてすぐじゃないの!」
淀殿はあくまで譲らない。
「本当に臣下の礼を取らせようと思っているのであれば駿府まで来るようにと指示がございますでしょう。
家康殿はご高齢で足腰も悪いご老人。
駿府から上洛するのだって相当なご苦労です。
それを中間地点というよりもかなり大坂寄りで会いましょうと言うのは親戚として親睦を深めたいという何よりの証なのではないでしょうか。
京都から大坂までが”すぐ”なのであれば、その位こちらから出向いて差し上げても良いのではないですか?
違いますか?お茶々殿」
「叔父上、どうして?
どうして徳川の味方してるのよ?」
かつて天下に最も近い存在だった織田家。
その座を家臣の羽柴に奪われプライドをズタズタにされながらもその臣下に下りへつらって庇護されることで今まで生きてきた。
同じことを今から豊臣にやれと言っている。
なんて惨めな役回りなのだろう…。
「天下静謐のために必要だからです」
有楽斎は静かに言い切った。
「徳川殿には了解の旨お伝えください」
秀頼も冷静に返答をした。
「承知いたしました」
「秀頼様、何を言ってるのよ!ダメよ!!」
淀殿の目は恐怖に見開いている。
「母のことは説得いたします」
「叔父上もやめてよ!」
「では詳細はまた追って…」
淀殿の悲痛の叫びが響き渡る中、有楽斎は京都に帰って行った。
「そうですか…。
しかしながら一度お会いして相手を知るのも必要なことだと思いますよ」
「そうですね」
「家康殿は親睦を深めるために一度会いたいと、そういう意図でいらっしゃいますから」
「それだったら狸が大坂までくればいいじゃない!!
京都まで来れるんだったら大坂なんてすぐじゃないの!」
淀殿はあくまで譲らない。
「本当に臣下の礼を取らせようと思っているのであれば駿府まで来るようにと指示がございますでしょう。
家康殿はご高齢で足腰も悪いご老人。
駿府から上洛するのだって相当なご苦労です。
それを中間地点というよりもかなり大坂寄りで会いましょうと言うのは親戚として親睦を深めたいという何よりの証なのではないでしょうか。
京都から大坂までが”すぐ”なのであれば、その位こちらから出向いて差し上げても良いのではないですか?
違いますか?お茶々殿」
「叔父上、どうして?
どうして徳川の味方してるのよ?」
かつて天下に最も近い存在だった織田家。
その座を家臣の羽柴に奪われプライドをズタズタにされながらもその臣下に下りへつらって庇護されることで今まで生きてきた。
同じことを今から豊臣にやれと言っている。
なんて惨めな役回りなのだろう…。
「天下静謐のために必要だからです」
有楽斎は静かに言い切った。
「徳川殿には了解の旨お伝えください」
秀頼も冷静に返答をした。
「承知いたしました」
「秀頼様、何を言ってるのよ!ダメよ!!」
淀殿の目は恐怖に見開いている。
「母のことは説得いたします」
「叔父上もやめてよ!」
「では詳細はまた追って…」
淀殿の悲痛の叫びが響き渡る中、有楽斎は京都に帰って行った。