花のようなる愛しいあなた
慶長20(1615)年5月。
私たちの住む大坂城は祖父である徳川家康と父である徳川秀忠率いる10万もの軍勢に取り囲まれて、攻撃を受けていた。
大坂城の豊臣家に嫁いでいる私は、この攻撃をやめさせるために数人のお供を連れて火の海の中祖父のもとへ懸命に走っている。
私たちは坂崎に率いられ、この戦の大将である祖父・家康の元へ急いだ。

足が焼けるように熱い。
息が苦しい。
でも
とにかくお爺さまに会わなくちゃ。
会って攻撃をやめてもらわなくちゃ。
あの人を助けなくちゃ。
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