花のようなる愛しいあなた
◆慶長8(1603)年◆
◇輿入れ◇
慶長8(1603)年7月
「ほら、ご挨拶してきなさい」
乳母の刑部卿の局こと多喜に言われて、千姫は両親の前に挨拶に行った。
「おとうさま、おかあさま、いままでおせわになりました。
いってまいります」
父の秀忠も母の江も今にも泣きそうだ。
「こんなに早く送り出すことになるなんてね・・・」
不服そうな江に代わって秀忠が口を開く。
「淀のおばちゃんがお千をどうしても早く手元に置きたいって言うもんだからね。
お父さんも寂しいんだけど、そこまで言うなら仕方ないと思ってね」
「うん、わかった」
千姫は無邪気に答える。
「寂しくなったり、いじわるされたらすぐにお父さんかおじいちゃんに言うんだぞ?
みんないつでもお千の味方だからな!」
「もう、あなた!
淀殿は私の姉ですよ!
意地悪なんてしませんよ」
江はムッとした表情で口を挟む。
「おじいちゃんとよどおばちゃんはなかがわるいって、ほんと?」
「まぁ!
誰がそんなことを!?」
不安げな千姫を母は優しく抱きしめる。
「そんなことないわよ、
豊臣家はずっと徳川家のことが大好きなのよ?
だって、
お母さんも秀吉おじちゃんの養女としてお父さんと結婚してるし、
何と言っても淀おばちゃんは私のお姉ちゃんだし、
両家の絆は硬いのよ!
そして秀頼くんとお千ちゃんが一緒になれば、みんなもっと仲良く幸せになれるのよ!」
「うん、わかった!
みんなのために、千、がんばる!」
「私もおりますので、しっかりお支えします」
控えていた多喜が挨拶をする。
「多喜姉、よろしくね」
江は多喜の手を握った。
「わたしもいっしょにいくよ?」
多喜の後ろに控えていたのは、多喜の娘で千姫の妹分でもある松。
「そうね、多喜もいるし松もいるしきっと寂しくないわ」
「うん、そうだね…」
「元気でね」
「いってきまーす」
「ほら、ご挨拶してきなさい」
乳母の刑部卿の局こと多喜に言われて、千姫は両親の前に挨拶に行った。
「おとうさま、おかあさま、いままでおせわになりました。
いってまいります」
父の秀忠も母の江も今にも泣きそうだ。
「こんなに早く送り出すことになるなんてね・・・」
不服そうな江に代わって秀忠が口を開く。
「淀のおばちゃんがお千をどうしても早く手元に置きたいって言うもんだからね。
お父さんも寂しいんだけど、そこまで言うなら仕方ないと思ってね」
「うん、わかった」
千姫は無邪気に答える。
「寂しくなったり、いじわるされたらすぐにお父さんかおじいちゃんに言うんだぞ?
みんないつでもお千の味方だからな!」
「もう、あなた!
淀殿は私の姉ですよ!
意地悪なんてしませんよ」
江はムッとした表情で口を挟む。
「おじいちゃんとよどおばちゃんはなかがわるいって、ほんと?」
「まぁ!
誰がそんなことを!?」
不安げな千姫を母は優しく抱きしめる。
「そんなことないわよ、
豊臣家はずっと徳川家のことが大好きなのよ?
だって、
お母さんも秀吉おじちゃんの養女としてお父さんと結婚してるし、
何と言っても淀おばちゃんは私のお姉ちゃんだし、
両家の絆は硬いのよ!
そして秀頼くんとお千ちゃんが一緒になれば、みんなもっと仲良く幸せになれるのよ!」
「うん、わかった!
みんなのために、千、がんばる!」
「私もおりますので、しっかりお支えします」
控えていた多喜が挨拶をする。
「多喜姉、よろしくね」
江は多喜の手を握った。
「わたしもいっしょにいくよ?」
多喜の後ろに控えていたのは、多喜の娘で千姫の妹分でもある松。
「そうね、多喜もいるし松もいるしきっと寂しくないわ」
「うん、そうだね…」
「元気でね」
「いってきまーす」