花のようなる愛しいあなた
「…淀さん…?」
「…寧々さまのわからず屋!
バカ!!バカ!!!
…っ、……っっ、
ぅわあああぁぁぁぁっっ!!!!!」
ヒステリーを起こし暴れ始めた淀殿をばあやと治長が宥める。
それを冷ややかに見ながら寧々さんは秀頼に言った。
「秀頼、あなたはどう思いますか?」
「私は…」
秀頼は遠慮がちに黙ってしまう。
「あなた幾つになりました?」
「11です」
「ではそろそろ分別もついて自分がどうして行きたいかも思うところがあるでしょう。
当主はあなたです。
どうですか」
「私は…徳川家の祝賀会に参加しても構わないと考えています」
「えっ」
「先日、勧修寺殿がいらっしゃったのですが…」
「ダメよ!!!」
秀頼の言葉を淀殿が遮る。
「何を言ってるの!ダメよ!!
今の話を聞いていたでしょう!!?」
「でも、徳川殿だって…」
「あの男は何をしでかすかわからない極悪人なのよ!行ったら最後殺されるわ!!」
「いやまさか」
「あの男はそういう男なのよ!!
そんな事になるくらいなら、私が今秀頼様を殺して私もすぐに死ぬわ!!!」
「ちょっと母さん!」
「それでも行くって言うなら私を、この母を殺してから行きなさいよ!!!」
「どうしてそうなるのさ…」
淀殿は懐刀を握りながら半狂乱だ。

やがて秀頼が優しく諭すように言う。
「母さん、今回はお断りしよう。
父さんの遺言を守って成人するまでは城を出ることができないからって、ね?」
淀殿は泣きながら頷く。
「ちょっと休んだ方が良いよ、ね?」
秀頼はばあやと美也に淀殿を休ませるように指示した。
寧々さんは深い溜息をついた。
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