花のようなる愛しいあなた
その代わり家康は、武家官位は江戸幕府が一括して推挙するという権限をついに得た。
朝廷は幕府の言う通りに武家官位を発行する事になる。
「武家の者が朝廷にご迷惑をかけるわけには参りませんからのぅ」
尤もそうな事を言ってはいたが、公家衆もみんなわかっていた。
家康が朝廷の力を削ごうとしている事を。
武家官位に関して朝廷は、家康や徳川幕府が決定した人事をただ事務処理するだけの機関となる。
事務手数料は入るがこれでは徳川の傀儡である。
しかし、武家に忖度せず朝廷人事は公家だけで編成できるようになるというのはありがたい事だった。
ここは妥協のしどころではないかと話がまとまる運びとなったのだった。

家康の一番の狙いは、徳川を頂点とする武家社会を作ることであった。
そのためには徳川家が人事権を独占的に握らなくてはならない。
今もほぼ徳川の推挙による人事が執り行われてはいるが、豊臣家の要求や公家の誰かによる差し金、そして天皇の気分で徳川の意図としない人事が行われることがある。
そんなことをされては秩序がめちゃくちゃに乱れてしまう。
「訳の分からん要求に何も考えずほいほい官位与えるバカの集まりは早いところ何とかせねば…」
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