花のようなる愛しいあなた
7月。
朝鮮国との交渉も無事終えた徳川秀忠は二条城を後にして江戸に帰って行った。
秀忠を警護に家康も京を後にし、駿府に引越しをした。
この状況に片桐且元は非常に焦っていた。
…私は一体どうなるんだ?
徳川様が豊臣家から完全に離れる。
家康様から豊臣家の家老に任じられて今日の私がある。
そして両家の架け橋として奔走するのが私の使命!
このまま豊臣家の家老を続けていて良いのか悪いのか…。
片桐は豊臣家の家臣だが、家康の家臣でもある。
片桐の焦りは豊臣家が孤立化してしまうのを恐れたのか、自分自身が置いて行かれることを恐れたのかはよくわからない。
片桐は居ても立っても居られなくなり、駿府の家康の新居に向かった。
駿府城は家康が幼少から青春時代を過ごした思い出の地である。
その頃は今川義元の人質として肩身の狭い思いをして過ごしていたものの、それから50年。
本当にいろんな事があった。
様々な苦労があった駿府だが今となっては思い入れがある大切な場所である。
駿府は気候も穏やかで食べ物も美味しい土地である。
富士山を望める庭園はまさに日本一の景色と言える。
そんな駿府は、ちょうど京と江戸の中間地点にある。
どちらの動向も知ることができるし、何かあった場合は盾になることもできる、そんな重要な場所であった。
「おお、片桐殿!
久しぶりじゃのう!」
家康は片桐をフレンドリーに受け入れた。
「まだまだお元気そうですのに隠居とは!
寂しゅうございます〜!!!」
「勘弁してくだされ、片桐殿〜!
ジジイを困らせないでくだされ〜!」
しばしの挨拶の後片桐は家康に問うた。
「私めはこれからどうしたら良いでしょうか?
このまま豊臣家の家老を続けて良いのでしょうか?」
「勿論じゃ!
其方はもう立派な家老であろう。
其方がいなかったら、豊臣家はどうなるのじゃ?」
家康に褒められて片桐は感極まる。
「けれど、私一人でやっていけるでしょうか…?
不安なのです」
「片桐殿、わしはこれまで、離れてはいたが其方と共に豊臣家の政務にあたってきたと思っておる。
わしの判断基準はもう伝わっておろう?
わしがいなくても、もう大丈夫じゃ!
其方の好きなようにせい」
「ありがたきお言葉!!!
なれど!
私は大御所様とのご縁をここで切りたくはないのです!!!
またこうして相談をしに来てもよろしいですか?
またお会いできますでしょうか!?」
「もちろんじゃ、もちろんじゃ。
わしと助作殿の仲ではないか」
「…!!」
片桐は家康から突如幼名で呼ばれ驚いた。
「あ、これは失敬!
昔ながらの付き合いじゃから、つい…」
家康がこんなに自分に親しみを感じてくれているとは!!
「あぁ、何でありがたいお言葉!
ありがとうございます、
ありがとうございます」
片桐は感涙した。
朝鮮国との交渉も無事終えた徳川秀忠は二条城を後にして江戸に帰って行った。
秀忠を警護に家康も京を後にし、駿府に引越しをした。
この状況に片桐且元は非常に焦っていた。
…私は一体どうなるんだ?
徳川様が豊臣家から完全に離れる。
家康様から豊臣家の家老に任じられて今日の私がある。
そして両家の架け橋として奔走するのが私の使命!
このまま豊臣家の家老を続けていて良いのか悪いのか…。
片桐は豊臣家の家臣だが、家康の家臣でもある。
片桐の焦りは豊臣家が孤立化してしまうのを恐れたのか、自分自身が置いて行かれることを恐れたのかはよくわからない。
片桐は居ても立っても居られなくなり、駿府の家康の新居に向かった。
駿府城は家康が幼少から青春時代を過ごした思い出の地である。
その頃は今川義元の人質として肩身の狭い思いをして過ごしていたものの、それから50年。
本当にいろんな事があった。
様々な苦労があった駿府だが今となっては思い入れがある大切な場所である。
駿府は気候も穏やかで食べ物も美味しい土地である。
富士山を望める庭園はまさに日本一の景色と言える。
そんな駿府は、ちょうど京と江戸の中間地点にある。
どちらの動向も知ることができるし、何かあった場合は盾になることもできる、そんな重要な場所であった。
「おお、片桐殿!
久しぶりじゃのう!」
家康は片桐をフレンドリーに受け入れた。
「まだまだお元気そうですのに隠居とは!
寂しゅうございます〜!!!」
「勘弁してくだされ、片桐殿〜!
ジジイを困らせないでくだされ〜!」
しばしの挨拶の後片桐は家康に問うた。
「私めはこれからどうしたら良いでしょうか?
このまま豊臣家の家老を続けて良いのでしょうか?」
「勿論じゃ!
其方はもう立派な家老であろう。
其方がいなかったら、豊臣家はどうなるのじゃ?」
家康に褒められて片桐は感極まる。
「けれど、私一人でやっていけるでしょうか…?
不安なのです」
「片桐殿、わしはこれまで、離れてはいたが其方と共に豊臣家の政務にあたってきたと思っておる。
わしの判断基準はもう伝わっておろう?
わしがいなくても、もう大丈夫じゃ!
其方の好きなようにせい」
「ありがたきお言葉!!!
なれど!
私は大御所様とのご縁をここで切りたくはないのです!!!
またこうして相談をしに来てもよろしいですか?
またお会いできますでしょうか!?」
「もちろんじゃ、もちろんじゃ。
わしと助作殿の仲ではないか」
「…!!」
片桐は家康から突如幼名で呼ばれ驚いた。
「あ、これは失敬!
昔ながらの付き合いじゃから、つい…」
家康がこんなに自分に親しみを感じてくれているとは!!
「あぁ、何でありがたいお言葉!
ありがとうございます、
ありがとうございます」
片桐は感涙した。