花のようなる愛しいあなた
地下通路を使う事で千姫付きの侍女たちが控えている部屋を避けて台所に到着する事ができた。
ヨシさんが作った粥と温かいお茶を持って秀頼の部屋に向かう。
中では福島が秀頼と面会中である。
会話の内容は聞こえないが、福島の声のトーンで和やかに話しているのがわかる。
福島は喜怒哀楽が大きい人のようで、大笑いしていたかと思ったら、泣き出したりなかなか激しい。
会話が少し落ち着いた頃、中から声が聞こえた。
「誰か。
温かいお茶を」
「はい、ただいま」
お雪と一緒に千姫は部屋に入る。
「失礼致します」
久しぶりに見る秀頼は少し痩せていて、少し気の抜けたような表情をしていた。
けれど病魔に苦しんでるような感じもせず膿も瘡も見当たらず、美しさは健在だった。
良かった…!
秀頼くんがちゃんと生きている。
千姫は安堵した。
「!」
秀頼は千姫がいることに気づいて目を見開いた。
「な、何でここに…」
「ご、ごめんなさい…どうしても秀頼くんが無事か確かめたくて…」
秀頼は決まりが悪そうに黙ってしまった。
「おじゃまするつもりじゃなかったの、すぐに失礼します…」
千姫はお雪と共にすぐに退室しようとした。
それを福島が制した。
「秀頼様!
今がお話をする丁度良い機会なんじゃねぇですか?
この姫様なら絶対ぇ分かってくださるって。
俺の勘だけどな。
きちんと向き合って二人で話をされるべきです!」
「……」
「ではお邪魔虫のオヤジは退散しますわ。
姫様、こちらへどうぞ」
福島はそう言うと
「あ、出口はどっちだ?
案内頼む」
とお雪を連れて部屋を出ていってしまった。
重苦しい空気が流れる。
しばらくの沈黙の後、秀頼が意を決したように重たい口を開く。
「…実は…」
ヨシさんが作った粥と温かいお茶を持って秀頼の部屋に向かう。
中では福島が秀頼と面会中である。
会話の内容は聞こえないが、福島の声のトーンで和やかに話しているのがわかる。
福島は喜怒哀楽が大きい人のようで、大笑いしていたかと思ったら、泣き出したりなかなか激しい。
会話が少し落ち着いた頃、中から声が聞こえた。
「誰か。
温かいお茶を」
「はい、ただいま」
お雪と一緒に千姫は部屋に入る。
「失礼致します」
久しぶりに見る秀頼は少し痩せていて、少し気の抜けたような表情をしていた。
けれど病魔に苦しんでるような感じもせず膿も瘡も見当たらず、美しさは健在だった。
良かった…!
秀頼くんがちゃんと生きている。
千姫は安堵した。
「!」
秀頼は千姫がいることに気づいて目を見開いた。
「な、何でここに…」
「ご、ごめんなさい…どうしても秀頼くんが無事か確かめたくて…」
秀頼は決まりが悪そうに黙ってしまった。
「おじゃまするつもりじゃなかったの、すぐに失礼します…」
千姫はお雪と共にすぐに退室しようとした。
それを福島が制した。
「秀頼様!
今がお話をする丁度良い機会なんじゃねぇですか?
この姫様なら絶対ぇ分かってくださるって。
俺の勘だけどな。
きちんと向き合って二人で話をされるべきです!」
「……」
「ではお邪魔虫のオヤジは退散しますわ。
姫様、こちらへどうぞ」
福島はそう言うと
「あ、出口はどっちだ?
案内頼む」
とお雪を連れて部屋を出ていってしまった。
重苦しい空気が流れる。
しばらくの沈黙の後、秀頼が意を決したように重たい口を開く。
「…実は…」