身代わり王女の禁断の恋
「違うわ。
私の命は、私だけのものよ。
クラウスはいいの?
私が、どこかの王子と結婚しても。」

私がそう問いかけても、クラウスはその表情を崩さない。

「もちろんでございます。
王女殿下のお幸せが私の唯一の望みで
ございますから。」

分かってない。

クラウスは、全然分かってない。

私は両手で顔を覆った。

クラウスに泣き顔を見せないために。

「私はどこの国の王子と結婚しても幸せには
なれないわ。
そんなこと、クラウスが一番よく知ってる
はずでしょう。」

「………もし、私がおそばに仕えることが、
王女殿下にとって苦痛となるなら、
私の侍従としての任を解いていただいても
構いません。」

いつもの冷静なクラウスの声が微かに震えた気がした。
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