身代わり王女の禁断の恋
平穏
・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・

平穏

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・


「クリス、君の部屋に寄っていいかい?」

王女殿下の部屋を出てすぐ、アルフが尋ねた。

「ええ、もちろん。」

私たちは下の階の私の部屋へと向かった。

部屋へ入るなり、アルフは私を抱きしめて言った。

「無事で良かった。
君にもしもの事があったらと思うと、気が
気じゃなかったよ。」

心配してくれたんだ…

それだけで心の中が暖かくなる。

「私も…
私のせいでアルフに良くない判決が下ったら
と思うと、居ても立っても居られなくて… 」

本当に無事で良かった。

「クリス、さっき、フルーナが言ってた
ことは本当かい?」

「王女殿下がおっしゃったこと?」

「君の父上が子爵になるってこと。」

私は恥ずかしくなり、俯きながら答えた。

「本当よ。
王女殿下の身代わりを引き受ける時に、
クラウスに言われたの。
私の母は、ずっと喘息の発作に
悩まされてて、でも王立病院ならなんとか
なるかもしれないって言われて…
その上、子爵にしていただけたら、
亡くなったお父さまも喜んでくださるんじゃ
ないかと思って、身代わりを
引き受けたの。」

アルフが、私のこと、地位や名誉に目が眩んだ女だと思ったらどうしよう、
< 122 / 155 >

この作品をシェア

pagetop