身代わり王女の禁断の恋
「いえ、こちらでは、クリスさまのお世話は
お城の侍女の方がしてくださるんですよね?
わたくしは、王立病院で奥さまのお世話を
致すことになっております。」

そうよね。
私のそばにいたら、すぐに王女殿下の秘密がばれてしまうものね。

「慣れない入院生活は大変だと思うけど、
ダニエラがいてくれたら安心だわ。
お母さまをよろしくね。」

「かしこまりました。
それと、ご入り用だと思って、勝手ながら、
クリスさまのバイオリンも持って
参りました。」

「っ!!
嬉しい! ダニエラ、ありがとう。」

お父さまからいただいたバイオリン。

これさえあれば、頑張れる。

お父さま、見ててくださいね。

「では、私は、奥さまの所へまいりますね。
何かございましたら、いつでも使いの者を
寄越してくださいませ。
クリスさまのためなら、私、すぐに飛んで
参ります。」

「ありがとう、ダニエラ。
お前も、元気でね。」

ダニエラは、一礼して帰っていった。
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