身代わり王女の禁断の恋
「そんなに緊張してかしこまらなくて
いいよ。
大后って言っても、もともと庶民なんだ。
家格はクリスの方が上だよ。」

いえいえ、それでも大后陛下でしょ。

私はもう、返す言葉も見つからない。

「とりあえず、明日、迎えに来るよ。
フルーナにも言っておくから、君は出かける
用意だけしておいて。」

アルフはそのまま離してくれなくて、結局5曲も踊る羽目になった。

まぁ、アルフと踊れるのは、楽しかったけど。


アルフと踊り終えて、演奏に戻ろうとしたところを、レオポルト王子に呼び止められた。

「お嬢さん、踊っていただけませんか?」

え、何で!?

困った私は、答える事ができない。

一瞬の沈黙の後、私は絞り出すように答えた。

「ごめんなさい。
私、演奏に戻らないと… 」

けれど、レオポルト王子は引き下がってはくれず、

「1曲だけでも。」

と食い下がる。

私は目を泳がせて、アルフを探した。

アルフは王女殿下と踊るようで、その手を取っていた。

ああ、明日のことを話しておくって言ってたものね。
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