身代わり王女の禁断の恋
その後、私は母の病状を主治医の先生から伺い、回復傾向にあることに安心して病院を後にした。


馬車は宮廷へと向かうが、着いたのは王宮ではなく、東の離宮だった。

「アルフ?」

私は首を傾げてアルフを見る。

「ついでにうちに寄ってくといい。
母に紹介するよ。」

え!?

「私、まだ心の準備できない。」

私が急に焦り始めると、アルフは私の手を握って言った。

「大丈夫って言ったろ?
そんなに気負わなくていいから。」

アルフは、私の手を取って、馬車から降ろしてくれた。

馬車寄せに馬車が着いた物音を聞いたのか、使用人だと思われる人が2人出迎えに出てきた。

「おかえりなさいませ、王弟殿下。」

この方は、執事?

身なりからそう思わせる男性が挨拶をする。

「ああ、ただいま。
母上に紹介したい人がいるんだ。
そう伝えて来てくれる?」

「かしこまりました。」

男性はもう一人に目配せをして、中へと入っていく。
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