身代わり王女の禁断の恋
アルフとともに
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アルフとともに

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アルフの部屋も、王女殿下の部屋と同様に居室・寝室・書斎と分かれていて、豪華な調度品に囲まれていた。

アルフは、私をソファへと促し、自らも隣に座った。

「クリス、これであとは、兄上、国王陛下の
許しをもらえば、晴れて俺たちは神の前で
永遠の愛を誓える。」

アルフは、左手を私の腰に添え、右手で私の手を握って言う。

「だけど、本当に私でいいのかしら。」

順調にいけばいくほど、胸いっぱいに不安が押し寄せる。

「いいに決まってるだろ。
俺は、誰が何と言おうと、クリスとしか
結婚しないから。」

嬉しい…

アルフの気持ちは、すごく嬉しい。

でも…

「もし、本当に王女殿下が王位継承権を放棄
したら… 」

不安は尽きない。

けれど、アルフは私の手をぎゅっと握って言う。

「将来、どんなことが起きようとも、俺が
必ずクリスを守る。
国内外、どんな敵が現れようと、俺は全力で
クリスを守るよ。
だから、クリスは安心して俺のそばで
微笑んでいて。
で、時々、バイオリンを弾いたり、俺と
踊ったりして。」

アルフの温かな思いが、その言葉からも、握られた手からも伝わり、不安に固まった心が少しずつ溶けていく気がした。


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