身代わり王女の禁断の恋
翌日、アルフと共に、国王陛下のもとへ結婚のお許しをもらいに行った。

「兄上、いえ、国王陛下、私、この度、
ここにいるクリスティアーネ・
ディートリンデ・フォン・ミュラー嬢との
結婚をお許しいただきたく、参上
致しました。」

アルフの声が硬い。

どうして? 兄弟なのに。

「公爵の娘を連れてこないのは、賢明だな。
好きにすれば良い。」

え?

陛下、私に対する時と、態度が全然違う。

どうして?

お母さまは違うとはいえ、アルフは、陛下の弟でしょう?

「ありがとうございます。
では、聖霊降臨祭後の6月初めに結婚できる
よう、準備を進めて参ります。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとう
ございました。」

アルフは頭を下げ、そのまま私の手を取って退出しようとした。

「待て。
クリスティアーネ嬢、そなたは本当に此奴で
いいのか?
余は、そなたを第二の娘とも思っておる。
そなたがこのような者を選んで、見す見す
不幸になるのを見過ごすのは、あまりに
忍びない。
もう一度、考え直してはどうだ?」

なんで?

どうして陛下はアルフをそんなに蔑んだ言い方をするの?

私は、引っかかりながらも、陛下にそのような事を奏上できるはずもなく…

「私のような者に、そのようなもったいない
お言葉、ありがとうございます。
けれど、私は、アルフこそ、私にとっての
最良の伴侶であると考えております。
温かい目でお見守りいただき、第二の娘から
妹になることをお許しください。」

私が頭を下げると、陛下は少し表情を和らげたように見える。

「妹か…
娘より年若い妹とは…
まぁ、それも良いかもしれぬ。
何か困ったことがあれば、何なりと申せ。」

「ありがとうございます。
陛下の温かいご厚情、決して忘れることなく
胸に刻んでおきます。」

私は再度頭を下げて、アルフとともに退室した。
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