身代わり王女の禁断の恋
「俺は、聖人君子じゃないからね。
このまま君のそばにいるのは、ちょっとね。
明日、また会いに来るよ。」

そう言ったアルフは、私の額に優しくキスをして、部屋を出て行った。

私は、慌てて追いかける。

「アルフ!」

振り返ったアルフは不思議そうな顔をする。

「外まで送るわ。」

私が言うと、アルフは嬉しそうに顔を綻ばせた。

アルフは私の手を取り、並んで歩く。

広い城内だけど、あっという間に外に出てしまう。

外は、雪がちらついていた。

「アルフ… 」

もっとそばにいたい。

そう思ったけれど、口にはできなかった。

「クリス、また明日。」

アルフはそっと私を抱き寄せて、頬にキスをすると、手を振って去って行った。

結婚したら、ずっと一緒に過ごせるのかな。

私は、空から舞い落ちる雪を眺めながら、春を待ち遠しく思った。
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