身代わり王女の禁断の恋
さらに1週間が経ち、慣れてきた私は、午後はユリアなしでのんびりと過ごしてみたくなった。

クラウスにそう告げると、絶対に飲み物も食べ物も口にしないという約束のもとで、午後は自由に過ごせることになった。

窓の外からは、爽やかな風とともに小鳥のさえずりが聞こえてくる。

私にはそれが音楽に聞こえた。

フレーズが次から次へと浮かんでくる。

私は、羽ペンを取り、引き出しの羊皮紙に五線を書くと、浮かんだフレーズを書き留めていく。

今は奏でることはできないけれど、王女殿下が無事回復して家に帰ることができたら…




さらに1週間が経ち、10月になった。

窓から見える庭園には秋の花が咲き始めている。

「ねぇ、ユリア、庭に散歩に出てもいい
かしら?」

私は、朝、ユリアに身支度を整えてもらいながら尋ねた。

ユリアは、一瞬考え込んだ後、

「では、午後、私も一緒に参りましょう。」

と言ってくれた。


その日の午後、私はユリアと庭を散歩する。

色とりどりのダリヤやマム、コスモスが咲き乱れ、美しく整えられた庭を華やかにしている。
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