身代わり王女の禁断の恋
「じゃあ、一切れを半分こしよう!」

そう言うと、ハールは栗のタルトをナイフで半分に割ってくれた。

一切れずつ皿に乗せてくれて、

「どっちがいい?」

と聞いてくれる。

「私はどちらでも… 」

私が答えると、

「だめだよ。ちゃんとフルーナが選ばないと。
もしかしたら、片方にだけ毒が入ってるかも
しれないだろ?
フルーナが選んで、選ばなかった方を俺が
食べる。
それなら、安心して食べられるだろ?」

とハールが力説する。

その力の入れようがとても真剣で、この人なら信じられると思えた。

「じゃあ、こっち。」

私が向かって右のお皿を受け取ると、

「じゃあ、俺が先に食べるね。」

とハールはフォークで刺したタルトを口に運んだ。

「うん。おいしい。
フルーナもどうぞ。」

そう言われて、私は恐る恐る、タルトを口に運ぶ。

「………
っ! おいしい!」

私が顔を上げると、ハールの優しい笑顔が目の前にあった。

「よかった。
フルーナのその笑顔が見たかったんだ。」
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