身代わり王女の禁断の恋
それから、私たちは穏やかな時間を過ごした。

私がバイオリンを弾き、ハールが聴く。

ハールが話し、私が聞く。

「それでさ、アメリー、どこにいたと思う?」

アメリーというのは、ハールの飼い猫。
まだ生後3ヶ月ほどの子猫を飼っているらしい。

「ベッドの下とか?」

「それがさ、靴! 靴の中にいたんだよ。
朝、履こうとしたら、中にいてびっくり!
踏み潰さなくてよかったよ。」

ハールの話は、聞いててとても楽しい。

ついつい話に引き込まれて、時が経つのも忘れてしまう。

日が傾きかけて、私は慌てる。

「私、もう、戻らなきゃ!」

「フルーナ、明日も会えるよね?」

「雨が降らなければ… 」

私は、ハールと約束をして別れた。

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