身代わり王女の禁断の恋
翌日、ハールは両手にバスケットをひとつずつぶら下げて現れた。

「やあ、フルーナ!」

ハールがひとつのバスケットは切り株の上に、もうひとつのバスケットは草はらの上に置いた。

「ハール! 今日は一体、どれだけ食べ物を
持って来たの?」

私が目を丸くすると、ハールも目を点にして私を眺めた。

「ははっ
まさか! 違うよ。」

ハールは思わず吹き出すように笑った。

「じゃあ、まずひとつ目!」

ハールは切り株の上のバスケットを開けて見せる。

「今日のおやつ。
かぼちゃのプディング。」

黄色いかぼちゃのプディングの上に白いホイップクリームが絞ってある。

「ふふっ
とてもおいしそうね。」

私が微笑むと、ハールは得意げに言う。

「おいしそうじゃなくて、おいしいんだ。
うちのパティシエは、世界一だと思うよ。」

「ふふっ
そうね。昨日のタルトも
とてもおいしかったわ。」

「で、次はこっち!」

ハールは草はらのバスケットを手にとって、私の目の前に置いた。

「いい? 開けるよ?」
「ミィ〜」

えっ?

バスケットの中から高い声が聞こえて驚いた。

「あーあ、だめじゃないか。
せっかくフルーナを驚かせようと
思ってたのに。」

そう言ってハールが開いたバスケットの中には、小さなかわいい子猫が。

「まあ! 素敵!!
かわいい子ね。」

「フルーナならそう言うと思ってた。
うちのアメリーさ。」
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