身代わり王女の禁断の恋
「フルーナ、好きだよ。
どうしてこんなにも君に惹かれるのか
分からないけど、君が好きなんだ。」

「ハール… 」

私も好き…

だけど…

今の私はフルーナ。

フロレンティーナ・アレクシア・フォン・シュルツ王女。

ハールを好きなのは、フルーナじゃない。

私。

クリスティアーネ・ディートリンデ・フォン・ミュラー。

私が答えられずにいるのに、ハールは微笑んで言う。

「言わなくていいよ。
フルーナには立場がある。
分かってて好きになったんだから。」

ハールは、その大きな手で私の頬を包み込んだ。

暖かな手。

私はその温もりが心地よくて、ハールの手に自分の手を重ねた。

そうして、その心地よさに浸っているうちに、つい、うとうとと眠ってしまったらしい。

「フルーナ、そろそろ帰らないと… 」

ハールに声を掛けられ、私は慌てて起き上がる。

「ごめんなさい。私ったら… 」

「いや、こんな素敵な昼寝は初めてだよ。
フルーナと一緒なら、何をしてても幸せだと
思える。
明日も会えるよね?」

ハールは私の手を握った。

私が頷くと、ハールはそっと私を抱き寄せる。

「また明日。」

頭上から優しく響くハールの声。

「はい。また明日。」

ハールの腕の中からハールを見上げると、優しく微笑んだハールは、私の額にキスをした。

「フルーナは俺だけのお姫様だよ。」

そう言って腕を解いたハールは、私のバイオリンを取って渡してくれた。
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