身代わり王女の禁断の恋
大広間を抜けて、廊下に出ると、厳しい表情でクラウスは言った。

「どういうおつもりですか。」

クラウス、何を怒ってるの?

「どういうって?」

「申し上げたはずです。
今日の舞踏会では、王女殿下の花婿候補が
多数参列すると。
王女殿下は、各国の王子たちと踊って
いただいて、より一層我が国の魅力を
知らしめる必要があるんです。
それが、何ですか!?
よりによってアルフレート王弟殿下とばかり
踊るとは。」

「え?
アルフレート王弟殿下…?」

ハールが?

「王弟殿下は普段こういう場にはおいでに
なりませんから、王女殿下がご存知なくても
仕方ありませんが、あなたが楽しそうに
踊っていらしたのは、アルフレート・
ハーラルト・フォン・シュルツ王弟殿下
でございます。」

ハールって、ハーラルトのハール?

そんな…

「このままでは、よくない噂が立ち
かねません。」

クラウスが眉間に皺を寄せる。


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