身代わり王女の禁断の恋
だが、俺が彼女の名前を呼んでも、不思議そうに首を傾げる彼女は、俺のことが全く分からないようだった。

よく見ると、目の色が微妙に違う気がする。

俺は、そのフルーナのふりをした彼女がなぜそんなことをしているのか気になった。

だから、俺はあえて、ファーストネームではなく、ミドルネームを名乗った。

叔父だと分かれば、俺を知らない言い訳を彼女は考えなくてはいけない。

知らなくても当然の間柄だと思わせたかった。



初めは、ただの興味本意だった。


草はらで昼寝をした時、寝入ってしまった彼女の生え際に一筋のプラチナブロンドが見えた。

その時、彼女が身代わりであることを確信すると同時に、その無防備な姿に愛おしさを感じた。


その彼女は、フルーナと同じ姿をしているが、フルーナのような気位の高さは微塵もなく、とても素直な、まるで少女のような女性だった。

明るく笑い、話し、奏でる。

俺は、毎日、彼女に会いたくて、毎日、森に行った。
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