身代わり王女の禁断の恋
「クラウス、勘違いするな。
俺は、お前がフルーナに出会う前から
フルーナを知ってるんだ。
気づかないはずないだろう。」

ハールの言葉を聞いて、クラウスは目を見張った。

「何の事でしょう。
王女殿下は最近、お転婆におなりあそばし、
城を抜け出して森へおいでになるように
なったくらいしか、私には思い当たる事は
ありませんが。」

クラウスはあくまでしらを切り通すつもりらしい。

「王女殿下、部屋へお戻りください。
あまり勝手なことばかりされますと、
お母上様がお嘆きになりますよ。」

お母さま…

せっかく良くなってきてるのに、今、私が逃げ出したら、きっと…

私は、ハールの背中から一歩踏み出した。

「フルーナ!?」

ハールは、私の手を掴んだ。

けれど、私はその手をそっと握って、そっと解いた。

「ハール、ごめんなさい。
私、行かなきゃ。」

私はハールを置いて、クラウスの元へ向かう。

「クラウス、ごめんなさい。
すぐに帰るわ。」
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