身代わり王女の禁断の恋
裁判
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裁判

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それから一週間後、アルフの裁判が行われた。

王位継承権第二位、国王の弟が裁判にかけられるなど、前代未聞の異例のことで、国中が注目していた。

私は、もちろん、裁判に行きたいと訴えた。

けれど、クラウスは頑として首を縦には振らない。

クラウスにとってみれば、彼が手塩にかけてお育てした王女殿下の最大の政敵を、この裁判で葬り去れるのだから。

クラウスは、ユリアに、絶対に私を部屋から出さないように言いつけて、裁判を傍聴に出掛けた。

「お願い! ユリア!
私が勝手に抜け出したことにすれば
いいから!
お願いだから、行かせて!」

するとユリアは冷めた目で私を見据えた。

「行ってどうなるんです?」

「アルフが王女殿下をさらってなどいない
ことを証言してくるのよ。」

私が一生懸命訴えても、ユリアの眼差しは冷たいまま。

「それで、仮に王弟殿下が釈放されたと
して、王女殿下はいかがなさるおつもり
ですか?」

「え? いかがって… 」

「仮に、王弟殿下が釈放され、王女殿下も
お目覚めになられたとします。
それで、あなた様はいかがなさりたいの
ですか?」

いかがって…

「失礼ながら、本来のあなた様は、貴族の
ご令嬢とはいえ、所詮、家名も有るか
無きかに等しい落ちぶれた男爵家のご出身
だと伺っております。
そんな方が、王弟殿下の花嫁になれると
お考えですか?」

「っ! それは… 」
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